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髪の毛を早く伸ばす方法は?伸びる速さは?専門家が解説

髪の毛が伸びる速さは?早く伸ばす方法を解説

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「雰囲気を変えるために早く髪の毛が伸びたらいいのに……」と思ったことはありませんか? 人の髪の毛は一般的に1カ月に1cm伸びると言われていますが、体調や体質など、どんな要因が影響しているのでしょうか?
今回は国際毛髪皮膚科学研究所の井上哲夫先生に教えていただきました。

この記事の監修

井上 哲夫先生

一般社団法人 国際毛髪皮膚科研究所 理事/所長。東京理科大学卒業後、総合化粧品メーカーに入社。ヘアケア・スキンケア商品の研究開発部長を経て、国際毛髪科学研究所を設立。東洋医学を美と健康に応用する「脱毛ケア」「頭皮ケア」のオーソリティとして、現在までに全国各地のがん診療拠点病院および7000店以上の理美容店、その他各種医療セミナーで講演・指導実績を持つ。

目次

髪の毛が伸びる速さ

その人の体質やその時の体調によって違いはありますが、一般的に、日本人の髪の毛は1日に0.30.4 mm伸びるとされています。およそ3日で1 mm1ヶ月で1 cm1年で12 cm伸びることになります。

男性・女性による違い

髪の毛の伸びるスピードに男女のホルモン差はほぼ影響しないといわれていますが、 “髪の抜けづらさ”には男女差が出るので、それが髪の毛自体の成長には関連しているようです。

井上先生

女性ホルモンが多いと髪の毛が抜けにくいという特性があるので、女性は毛が長くなりやすいという特徴はあります

女性ホルモンが多い人の方が髪の毛が抜けないので比較的長く伸びやすいのです。
一方で短い髪の毛は、伸びたときに目に見えて変化がわかりやすいため、例えば、坊主スタイルやベリーショートの人は早く伸びている実感を持つこともあります。ただ、これはあくまでもそう感じるだけで、短い髪の毛が伸びるスピードが速いということはなさそうです。

年齢による変化

年齢を重ねるにつれて髪の毛の成長する速度は遅くなるそう。
髪の毛を構成しているケラチンというタンパク質が作られるためには栄養が必要で、これを運んでくるのが毛細血管です。毛細血管が元気(=血行が良い)だと、組織が栄養を受け取りやすくケラチンの生成が活発になります。

井上先生

毛細血管は若い人の方が多く、血行も良いので、組織が活発化しやすいと言われています。歳を重ねると若い頃より血行は鈍くなるケースが多く、ケラチンを作る栄養素が運ばれにくくなります。そのため、年齢が高くなると髪の毛を作る速度が遅くなると考えられるのです

例えば、20代の髪の毛が伸びるスピードを“10”とすると、50代では“9”、60代では"8"……と髪の毛の成長速度は下降するそう。子どもの髪の毛が伸びるスピードに注目すると違いが分かりやすいかもしれません。

髪の毛の部位による違い

一見、髪の毛はどの部位も同じ速度で伸びているように思えますが、場所によって微妙に違いがありそうです。

髪の毛の部位による伸びる速さの違い

井上先生

側頭部と後頭部は筋肉に覆われており髪の毛を作るための栄養素が届きやすいです。一方で頭頂部は帽状腱膜という繊維状組織しかなく、血行は側頭部・後頭部より鈍くなるため髪の毛が伸びるスピードは劣ると考えられます

前髪の伸びる速さは目に付くため早く感じられますが、頭頂部と同様なので実は他の部位より伸びる速さは遅いのだそう。

髪の毛が伸びるメカニズム

髪の毛が伸びるメカニズム

では、髪の毛はどんなときでも成長し続けているのでしょうか? 生える・抜けるのメカニズムについても伺ってみました。

井上先生

髪の毛は成長し続けているのではなく、一定の成長をしたら抜け落ち、次の新しい髪の毛が生えてきます。これをヘアサイクル(毛周期)と呼んでいます

ヘアサイクルは主に成長期・退行期・休止期の3段階で成り立っており、成長期の期間は男女差があるそう。

井上先生

女性は3〜7年くらい、男性は2〜5年くらいが成長期です。この期間が終わると2~3週間と言われる退行期に入り、その後3〜4カ月の休止期に。その最後に抜ける、というのが一般的なヘアサイクルです

井上先生によると、人間の髪の毛はモンゴロイドを例にすると大体10万本あると言われており、人によっては1,000通り以上のヘアサイクルが存在しているそうです。
また、ヘアサイクルは年間を通じて一定ではなく、季節変動があるとも言われているそう。
暑いと体温を下げようとするため毛が抜けるという生物機能が働いたり、血行が滞りやすい冬は末梢神経まで栄養が行き届きづらく抜け毛が増えたりするという事例もあるようです。

髪の毛は体調不良のように疲れがすぐに目に見える形で表面化するわけでなく、3〜4カ月後に現れるので、抜け毛が多いと感じたときは少し前の自分の体調を見返してみると良いかもしれません。

髪の毛を早く伸ばす方法

髪の毛を早く伸ばす方法

ここまで髪の毛の成長サイクルや、成長要因について教えていただきましたが、ではどのような心がけをしたら髪の毛は早く伸びるのでしょうか? ヘアケアや、生活習慣などで変化があるのかを井上先生に伺ってみました。

井上先生

確実に髪の毛を早く伸ばす方法はありません。しかし、頭皮の環境を健康にし、髪の毛を健やかに伸ばしていくことは重要だと考えます。

ヘアケアで頭皮と髪の毛を健康に

髪の毛を健やかに保つためにシャンプーをはじめとした日常的なヘアケアでもっとも意識すべきは、頭皮を清潔な状態に保つということ。

井上先生

シャンプーは毛の部分だけでなく、頭皮をきれいに洗うことを心がけましょう。泡立てネットや手のひらでシャンプーを泡立て、その泡を地肌につけ、頭皮を揉みあげるように洗うのがおすすめ。毛穴から皮脂と汚れを出すような感覚で洗ってみてください

また、頭皮に油分を与えすぎないよう、トリートメントやコンディショナーは毛の部分だけにつけるように意識してみましょう。さらにヘアドライのあとに頭皮マッサージをして、血流を促進させることもおすすめです。

育毛成分で髪の毛が伸びやすい環境に

髪の毛の成長には欠かせない育毛成分ですが、髪の毛を伸ばすためにも効果的なのでしょうか。

井上先生

育毛成分は成長促進だけでなく、髪の毛を伸ばすためにも効果的だと考えます。

目的に応じて医薬品、医薬部外品(育毛剤)、化粧品(養毛料)を選んでみましょう。

睡眠をしっかりとる

生活習慣から見直すべき点はあるのでしょうか? まずは睡眠時間について伺ってみました。

井上先生

寝ている時間は副交感神経が働いて、皮膚の末梢神経が動いており、血流が良い状態です。髪の成長には血行を良くすることが重要ですから、睡眠時間は髪を成長させるための貴重な時間とも言えます。また、睡眠不足は自律神経の乱れにもつながるため、頭皮に栄養を届ける作用にも影響します。これを防ぐためにも、毎日7〜8時間の睡眠時間を確保できると良いですね

睡眠時は成長ホルモンがもっとも多く分泌する時間でもあるので、体のためにも髪の毛のためにもしっかり睡眠時間を確保することが重要です。

食生活で髪の毛に栄養を与える

髪の毛の成長には、バランスの良い食事も大事とのこと。特に気にして摂った方が良い栄養素などあるのでしょうか。

井上先生

基本的にはどの栄養も重要です。その中でも、頭皮に栄養を届けるためには血流をよくするための鉄分や、髪の毛を構成しているケラチンの主成分、タンパク質は意識して摂ることをおすすめします

血液を作るための鉄分は植物性よりも動物性の鉄分、例えばレバーなどの方が吸収率が良いので、効率的に取り入れてみてください。タンパク質は体重分の「グラム数」、例えば50kgの人なら「50g」摂れると良いそう。多く感じますが、魚や肉、豆製品、卵など身近な食べ物から摂れるので、意識してみると良いでしょう。
また、栄養素だけを気にするのではなくよく噛むという行為も大事とのこと。噛んで唾液を出すことでパロチンという成長ホルモンが出るため、髪の毛の成長にもつながるようです。

いかがでしたか?

髪の毛の成長について、男女差や年齢、生活習慣などとの関わりについてお伝えしました。

健やかな髪の毛の成長を促すためにも、髪の毛が伸びるメカニズムを理解して、育毛剤などのヘアケアアイテムを使って頭髪環境を整えてみてはいかがでしょうか?

【画像】eringi / PIXTA(ピクスタ)

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